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忘れられる過去 - 2014.05.13 Tue

月に一度は本屋を回らないと、古い映画ばかり見ていては脳軟化症になってしまう、というわけで四条河原町に出る。

これは以前にも書いたか。学生時代に、京都の大学に行っていた高校の後輩のところに、シナリオの取材と称して、一ヶ月ほど居候していたことがあった。暑い夏。いろんなバカをして過ごしたあの一ヶ月は、もしかしたらわたしの人生の中でもっとも輝かしい一ヶ月だったかもしれない。
後輩の住まいは御所の傍にあって、大家さんは小林さん。そのことだけは覚えていて、ずいぶん前にあれはどこだったかと探したが判らなかった。

それから20数年後。あの時は結局2週間ほどいたのか。黒木和雄さんに、「浪人街」のシナリオの手直しのために京都に呼ばれた。あれも夏。呼んだ黒木さんも呼ばれたわたしも、せいぜい3,4日で終わるものと思ったら、ここもあそこも直さなければならない箇所が次々出てきて。
そのときは、NHKのラジオドラマの締切も迫っていて、「浪人街」は一時中断して、NHK福岡へ移動。お盆のころで新幹線の指定席がとれず往復立ちっぱなし。おまけに、福岡では3日・72時間! 一睡もしないで書いていて、あれやこれやが、生まれつき悪い腰を一撃。京都に戻って、ホテルから近くの本屋に出かけたその途中、腰の痛みで歩けなくなり、そのうち立ってもいられなくなり、そして救急車で病院に運ばれて ……

あの本屋は京都書院だったか、駸々堂だったか。その思い出の場所へ行こうと思ったのだが、あるはずの場所にそれがない。ずいぶん歩き回ったのだが、見つからない。それに、逗留していた京都ホテルも。
家に帰ってネットで調べたら、ホテルも本屋もみんなずいぶん前になくなっていた。そう、寺町通りに軒を接するように並んでいた古本屋もいまは、櫛の歯が抜けたようになっていて、というか、まあ実際は、抜けたあとには飲食店などが入って、そんな事実はなかったようになっているわけですが ……

文字通りの骨折り損のくたびれ儲け。まあ、久しぶりの京都見物になったけど。ついでだからと八坂神社に行ってしまった。そう、いい運動にもなった、だって4時間以上歩いたのだもの!

地下街にあったふたば屋で買い求めた本は、文庫本2冊。荒川洋治の『忘れられる過去』とマルケスの『誘拐の知らせ』。それとブック・オフで横尾忠則の新書『隠居宣言』。それに、本屋で見つけてネットで買うことにした深沢七郎に関する本で、ああ、もうタイトルを忘れてる、確か「寂しいことはいいことだ」というような …

映画『傷だらけの人生』。例によって例の如く、見たということは記憶にあるが中身のいっさいを忘れてしまっていた。
でも、よく出来た映画、というか、ちょっと風変わりなやくざ映画だ。

冒頭、兄弟分の鶴田浩二と若山富三郎が飲み屋で酒を酌み交わしている。と、辻占売りの親子がやってくる、子供の方は、6,7歳の少女だ。最初に彼等ふたりと少し離れたところで飲んでいた鶴田の子分のほうに、買ってくれと近づくと、「うるさい」と怒鳴られる。と、鶴田、一喝、「買ってやらんかい!」。それから鶴田は、女の子が、家を出て行ったまま音信不通になっている父親を探していると知ると、可哀そうになと財布ごと彼女にお金を渡す。
それを見た若山、「ああ、兄貴も父親、捜してるさかいに、ひとごととは思われへんのやなあ」という。
鶴田の父は、彼が母親のお腹にいるときにいなくなっていて、だから彼は、父がどんな男でどこにいるのか、名前さえも知らないのだ。母に聞いても、いまのお父さんで十分やろと教えてくれない。

鶴田には3人の<父>がいる。前述の血のつながった実父、彫りもの師である育ての父、それからやくざの組の親分と。このメインストーリー(=鶴田の父親探し)が、映画が始まって10分足らずで明らかにされるのだ。なんという段取りのよさ。たちまちのうちに物語の中に引き込まれる。
全体のストーリーは、例によって例の如くのもので、実父がなんと彼の組と敵対している組の親分だったという種明かしも予想通りだが、その事実が明らかになった後、鶴田が、とことん悪い実父(演じるは、わがエンタツ氏!)に、近々予定されている花会(大々的な博打の大会)は、従来通り、自分の組にまかせてほしいと願い出る場面、緊張感が漲っていて、素晴らしい。
エンタツ氏は、奈良の生駒に組を抱えていて、やくざになって以来ずっと、この花会をとりしきって、大阪を配下に治めるのが彼の夢、横車を押していることは重々分かっているのだが、はいそうですかと譲るわけにはいかないのだ。ここらへん、シナリオがうまく出来ている。

監督は小沢茂弘。東映一筋のB級映画の巨匠だ。先に挙げた場面、相対する鶴田とエンタツ氏を、カメラをふたりの間に置くのではなく、エンタツ氏の側に置いている。つまり、主役の鶴田の表情・芝居を主にして撮っている。主役をいかに立てるのかが、B級監督のテーマなのだ。
じゃ、脇役には手を抜いてるかというと、そうじゃない。翌日見た同じ監督の『渡世人列伝』では、天津敏以下数人の悪党たちを全員スキンヘッドにして、なおかつ、親分の天津のスキンヘッドには蜘蛛の刺青を入れさせているのだ! もの凄く怖い!

一世を風靡した東映やくざ映画(ブーム)は、尾崎士郎原作・沢島忠監督・鶴田主演の「人生劇場 飛車角」から始まったというのが通説になっているが、そうじゃない、小沢茂弘の『博徒』こそその火付け役だったのだ。
小沢へのインタヴューをまとめた『困ったやっちゃ』で、この本の著者、高橋聡がそう語っているのだが、わたしも同感で、『人生劇場』は、単にやくざが主役の通俗的といっていい、よく出来たメロドラマだが、小沢の映画で初めて、リアルな賭場、リアルな盃の儀式等々が明らかにされ、それに驚愕した観客が映画館に押し寄せ、ブームとなったのだ。

ま、ドーでもいい話ですが、間違いはちゃんと間違いとして糺しておかないと。

それにしても。ふたば屋さんの入ってすぐのところには、あたかもキャンペーンをはっているかのように、<本の楽しさ、読書の悦び>を訴えるような本が並んでいた。
いまや本屋も出版社も絶体絶命に追い込まれている。だから必死なのだ。でも。あと10年もしないうちにきっと、この本屋さんも京都書院や駸々堂みたいになくなってしまうのだろう。

なんか切ないね。





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