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懐かしさに溺れつつ - 2014.03.12 Wed

研究室のお掃除もほぼ終了。やれやれ。
なんでこんなものがこんなところに、なんてものが幾つも出てきたが、田村信の「トラップ一族」もそのひとつ。
なんで研究室なんかにいつ持ち込んだのか。
田村信。笑えるということでは彼のマンガに勝るものなし。

わたしが20代半ばくらいだったろうか。多分、少年サンデーだと思うけれど、彼の「できんぼーい」の連載が始まって、一時期、これがわたしの最上級のエンターティンメントだった。
知らないひとは、吉本新喜劇のマンガ版だと思っていただければ。そう、いま絶好調のスッチーと吉田裕のやりとりを。
絵がうまい。ギャク自体はさほどのことはないんだけれど、そのリアクションがね、なにかと言えばみんなひっくり返る。それも尋常じゃない激しさで。そのときの足の感じがね、笑えるんですよ。それで、そんなぶっ飛びが延々続いたあと、登場人物たちは、「地獄じゃ、地獄じゃ」といいながらすごすごその混乱の極の場から立ち去ることになるんだけど、その時の足取り、手・指の感じから、その台詞が聞こえてくるんですよ。と書いても、まあ、よく分からんでしょうが。
いまはどうされているのか。わたしより幾つか若いはずですが。因みに、前述した「トラップ一族」は青年誌に発表されたものですが、「できんぼーい」とほとんど変わらない。で、家に帰る電車の中で読んでいたら、思わず声を出して笑ってしまって …。よく、いい俳優は背中で芝居が出来る、なんていいますが、田村まんがの登場人物は、後姿がいいのです。ま、背中というよりお尻が芝居する。プリプリほんとに動いてるような。田村信。天才なんだけど …


懐かしいと言えば、一週間ほど前だったか、「とめてくれるな、おっ母さん」を見る。監督は田向正建。公開されたのは多分、当時東大の学生だった橋本治が描いた学園祭のポスターが評判になり、そのキャッチコピーが「とめてくれるな、おっ母さん」で、だから、70年代初頭? この映画はこの年のわたしのベスト1で、もう一度見てみたい映画のわたしのナンバー1でもあったのだけれど。うーん、これがねえ。ずいぶん前にここで書いた「帰って来た狼」も、再会してみれば、え、この程度? で少なからずがっかりしたのだが、これもまた似たような感じで。

いや、そんなに詰まらなくはないんだけど。
船乗りになると言って故郷の北海道を飛び出した若者が主人公。いまはヨコハマで屯するチンピラだが、家には船乗りの友人に頼んで、彼が外国に行くたびに、旅先から自分の名前で、「いまはサンフランシスコにいて …」みたいな手紙を出してもらってる。
彼は同じチンピラ仲間と3人で共同生活をしている。彼等の夢は、正式なヤクザの組員になって、肩で風切るオアニイサンになること。その夢を叶えたかったらと、兄貴と慕うやくざ(財津一郎)に、対抗する組の幹部を殺れと命令されるが …
あれやこれやの手をひねり出して、彼等は標的の男を殺しはしないけどぼこぼこにし、晴れてやくざの組員に。
となった途端に組に警察の手が入り、幹部連中は全員ぱくられて、親分はあとはおまえたちに任せたみたいなことを言ってどこかへトンズラ。
一方、佐藤蛾次郎演じる主人公の実家が大変なことになってると知らせが入って、3人で北海道へ。と、驚いたことに、トンズラした親分が議員だと偽ってその村に入り込み、大掛かりな土地の買収をしていて、蛾次郎の家族も土地を奪われ、家を追われ、あろうことか可愛い妹は彼等にレイプされ、とひどいことに。
堪忍袋の緒が切れた蛾次郎は、単身、かっての親分がいる事務所に殴りこみ、で、殺されちゃう。と、残されたふたりが仇はとってやると殴りこみに行こうとするが、蛾次郎の母はバカな真似はよせ、と止める。と、ここでタイトルの「とめてくれるな、おっ母さん!」とミエをきって、かれらは飛び出していく、そして …

と、まあ、こんな話で。残されたふたりはともに、母親がいないという設定になっていて、蛾次郎の母親を自分の母親のように慕ってるなんてくだりもあって、この台詞が吐かれる場面はちょっと涙腺を刺激する。
だから、ホンはまあまあうまく書けているんだけど、演出がちょっと、という …。田向氏は多分、これが監督デヴュー作で、以後、監督はしてないはず。後に、テレビのシナリオライターに転じて、「雲のじゅうたん」なんてNHKの朝ドラの傑作をものしています。でも、40代半ばくらいで亡くなったのではなかったか。

「雲のじゅうたん」で忘れらない回があり。それは一回分15分まるまる記念写真を撮るシーンに費やすという大胆なことをしていて、わたしはこれに驚嘆し、自分の芝居で2回、パクってやりました。ひとつことを延々と繰り返す、というのが好きなんですよ、わたしは。だから、スッチーと吉田裕のコントがもうたまらんわけで。

懐かしついでに、もうひとつ。これも研究室の本棚から出てきた本で、池内紀氏の『地球の上に朝が来る』。
本の帯には「戦後、五球スーパーラジオできいた芸人たちのすばらしい笑芸の数々」とあります。
昨日は電車の中で吹き出してしまい、今日は電車の中でこれを読んでて泣きそうになってしまったという …
池内氏は、高名なカフカの研究者だが、この本は名著です。巻末に、「付録 懐かしの演芸館」として、千太・万吉やダイ・ラケの漫才が採録されているのが嬉しい。

「お父さんはお人好し」ー花菱アチャコと浪花千栄子という項に、昨日書いたことと関連することが書かれていてので、長くなるが以下に引用する。因みに、「お父さんはお人好し」とは、50年代半ばから10年ほどにわたって、NHKで放送されていた人気ラジオドラマだ。

子どもたちから生き方が古いとからかわれたとき、浪花千栄子演じる妻おちえは、こんな風に怒ったものだ。その口吻から息づかいまで、私はまざまざと覚えている。
「…ほんまにもう、あんたらはまあ三人がかりで、このお父さんやお母さんを、年がよって頭が古いといってバカにしなはんのか、ええ、ええ、バカにしとくんなはれ、なんぼなとバカにしとくんなはれ (以下略)」

氏はこの部分を、浪花千栄子は多分、台本どおりにしゃべったのにちがいないと推測した後、こう書く。

しかし私はほんの少しーほんの1ミリほどー台本からそれているような感じがした。何百万の母親たちが同じように感じるかもしれないが、だが世の母親たちは、決してこのように子どもたちが唖然とするほど突然いきり立ちはしないだろうし、またついぞこのような口吻や息づかいで話しもしないだろうと思わないでいられなかった。妻おちえがつながっていたのは、もしかすると天下の善人・藤本家のお母ちゃんではなく、精妙な雄弁術をもった一人の孤独な女・浪花千栄子ではあるまいか。

わたしが昨日書いた、「俳優なんか下手で結構」はここにつながる。
これまでにも繰り返し書いたことだが、多くのひとが、上手いと評するのは、滑らかに喋ることが出来て滑らかに動くことが出来る俳優だ。そして、それに、例えば、ロバート・デニーロのようにひと癖あれば名優とされるのだ。

それを滑らかと感じるのは、多分、見慣れているからだろう。見慣れているから安心できる、と。うん? ひとは安心を得ようとして劇場に出かけてるの?
池内氏はいう。浪花千栄子は、台本の指示するところから1ミリそれていて、だから、ハッとなにかを感じてしまったのだ、と。なにかとは? 浪花千栄子の孤独、即ち、彼女の<生き方>に触れてしまったように感じたのだ。

そう、誰でも考えそうな、やりそうな芝居で、安全地帯から1ミリもはみ出さない俳優を上手いというのなら、下手で結構だと、こういう話である。








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