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フロント - 2011.08.02 Tue

パソコンは疲れます。いまもずいぶん長い文章をここに書いたのですが、なんかどっかを押したらしく、全部消えちゃった。哀しい。哀しすぎる。なにかいわれのない処罰を受けているよう。
そんなにわたし、悪いことをしたのでしょうか。

昨日は、大学の仕事に忙殺される。朝の7時から夜の6時まで、一日中研究室のパソコンと格闘。
前夜は、というか、まる一日寝ないで「心臓破り」を書いていたので、本当は研究室で仮眠をとるつもりだったんだけど ……

函館で内田樹の『最終講義』を読んだ。
内田氏はわたしの10倍以上の原稿を書き、あちこち講演もしているようで、どう考えても、わたしより100倍くらい忙しそうなのに、勤務する大学で長く教務の委員長をやっておられたようだ。あんたはエライ! ほんとにエライ!
 前述の「大学の仕事」は、わたし、去年から文芸学部の就職対策委員長をやっていて、その仕事だったんですが、まあ、この程度の仕事で疲れるなんて言ってたら、内田氏のことを思えば、それこそバチがあたります。教務って言ったら学部の要で、もう大変なんスから。

その『最終講義』では繰り返し「フロント」という言葉が語られる。「ミッション」という言葉も何度か出てくる。
さっき書いて消してしまった文章では、その一部を引用したけど、もう面倒だからしません。
簡単にまとめてしまうと、研究者はフロントランナーの自負をもつべきなのに、それがない。いったい誰のために、なにを背負って研究をしてるのか、それが分からない研究、研究者が多すぎる、と、まあ、こんなとこです。

研究者を「作家」や「演出家」や「映画監督」に変えても同じだと、わたしは思います。

この間WOWWOWで見た、去年だか一昨年だか話題になった「告白」がまさにそんな映画でした。
なにが言いたいの? 誰に見せたいの? という映画で。そりゃ、映画で描かれている中学生です、その親たちですというかもしれないが。ダメでしょ、こんなの見せたら。

ひとことで言うなら、陰惨な映画。話の内容ではない。いや、確かに救いようのない話ですが。

こんな映画も珍しい。だって登場人物の誰一人、観客のシンパシーを誘わないのだから。いや、わたし、かわいそうで泣きました? そういうあなたの方がわたし、かわいそうだと思いますが。

監督はどこまで意識してるんだろう。殺される(事故死?)子供の親はシングルマザーで、殺したふたりの中学生のひとりの男の子は、両親が離婚していまは父親と暮らしてて、もうひとりの男の子の家庭も、父親は仕事で忙しく(?)ほとんど家にいないので、ほとんど母子家庭状態、と。まるで両親のいない家の子供はろくでもない、みたいにとれますが。ひどい差別。こういう、いかにも分かりやすい意味づけって陰惨な思考回路だとおもうのですが。どうなんでしょう?

やたら血が流れ、飛び散る。ジャンル的にはホラーということでいいのでしょうか? でも、わたしはこれを「陰惨」と評しているわけではありません。おびただしい血=穢れを覆い隠すかのごとく、やたらとメルヘンチックなカット・シーンがあるのです。シャボン玉が飛んでます、みたいな。いまどきシャボン玉ってドウヨって感じで笑っちゃいましたが。
陰惨だと思うのは、こういうバランスのとり方です。「卑しい」と言ってもいいかも知れません。

やたらとスローモーションになるのも陰惨です。
H・ホークスが、ここというところになると必ずスローモーションになる、ペキンパーの「ワイルド・バンチ」を評して、「やつが10人殺す間に、俺なら100人殺して見せるだろう」という意味の、カッコイイ悪態をついたのは有名な話ですが、「告白」は多分100分を超える長さの映画だったと思いますが、ホークスのような天才ではなくても、普通の美意識をもったフツーの監督なら、この映画、1時間たらずにまとめたはずです。

かくも陰惨な映画を、褒めたたえた観客、マスコミ、批評家たち。どういうひとたちなんだろう?
観客はともかく。監督も批評家諸兄も、自分がフロントラインに立っているという自負もなく、また重要なミッションを与えられているという使命感もないのでしょう。観客もねえ、もう少し力を入れて見てほしいですけど。

くしくも。なでしこジャパンの司令塔、沢穂希は、若い選手たちを「苦しいときはわたしの背中を見ろ」と言って鼓舞したという。

なんという男前だろう!


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