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いろいろよろしく - 2011.06.06 Mon

以下は、演劇雑誌「悲劇喜劇」の今月号(7月号)に掲載されたものの転載。

この間も、あるひとからブログ時々読んでます、なんて言われた。そういうひとのために、求めに応じて書いた原稿をこれからも転載したいと考えています。いろいろよろしく(内田裕也のことば。笑)。
わたしの文章は、上記雑誌の「この一篇」という特集のために書いたもの。ざっくり言うと、戯曲を1本挙げて、それについてなんでもいいので書いて下さい、というもの。
わたしのほかにも10人ほどの方が原稿を寄せられているのだが、執筆者の平均年齢は多分70歳を超えているのではないか。正直この人選はいかがなものかと思うのですが。せめて平均50歳でしょ。

ざっと読んだら、やっぱり(?)わたしの文章だけ浮いてた。みなさん年相応の真面目な文章を書かれている。わたしだけがなんだか軽い調子で、ゴメンナサイって感じです。


劇(戯曲)、動くもの。
     「蒲団と達磨」(作 岩松了)に触れながら
                         竹内銃一郎

本は動かなければいけない。これは池袋の書店の壁に掲げられていた、生物学者の福岡伸一の言葉。ならば、劇=戯曲においてをや?
 動いているとは、生きているということ。だから、と続けるといかにも短絡的だが、お題をいただいてわたしが真っ先に考えたのはこのことで。
 すでに亡くなっておられる作家、ご存命ではあるけれど、失礼を承知で記せば、実質すでにもう終わってしまっておられる作家、わたしよりずっと若いけれど、変わりばえのしない作品・世界を描き続けて飽きない、動かざることゴルフボールの如き作家の作品は除こう。それに、入手困難な作品を除き、外国の同時代作家のほとんどを知らず、自作を挙げる図々しさを欠いているとなれば、あとはもう岩松了氏の作品しか残らない。
 生きているとは、新たに生まれつつあることであり、新たにうまれつつあるとは、刻々と変化・変貌を遂げているということだ。ここにきての氏の作品ごとに示す変化・変貌・変幻ぶりは、「大丈夫?」と声をかけたくなるほどの、無謀というべき激しさである。わたしをして新作を心待ちにさせる作家は、目下のところ氏をおいて他にはいない。
 これだけではない。動くこと=運動的なるものは、不安定・不均衡によってもたらされるのだが、たとえば、氏の初期の傑作「蒲団と達磨」は、その運動的=不均衡なるもので満たされている

。断るまでもなく、作品自体もきわめて運動的なのだ。冒頭のト書きからすでに氏特有の世界が提示されている。
舞台には、黒い紋付を着た妻と寝間着の夫(不均衡①)。ふたつの蒲団が敷いてあるのでそこはふたりの寝室なのだろうが、なぜかカラオケセットが置かれてあって(②)、「さらに、異様と言うべきか、ふたりの間、部屋の奥の方に、体をエビのようにくの字に曲げ、夫婦に背を向け、横たわっている男がいる」という(③)。夫は新聞を読んでいて、妻は急須にポットのお湯を注いでいる。
かってわたしは、「岩松さんは世界を動詞で描くのだ」と書いたことがある。立つ、座る、歩く、新聞を読む、お湯を注ぐ、等々の動詞によって示される行為の具体の連なりと、人物たちの登場・退場による、その場の空気の濃淡の変化が醸し出す滑稽と哀切が、氏の劇のすべてなのだ。
「静けさは、時の深さを告げるよで……」。夜も更けているらしい。ふたりの沈黙がもたらすそれなりの緊張感。その中で、ふっと洩らされるため息のような次なる言葉が(④)、この劇の最初の台詞だ。

夫 これは、夕刊じゃないな……

 以降、まるで石ころだらけのグランドでなされる野球のように、イレギュラーバウンドめいた、
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